台湾の台東には実際に使われていた刑務所を転用し、受刑者の作った工芸品の展示と刑務所内を紹介する矯正藝文展示館(Jiǎozhèng yì wén zhǎnshì guǎn)という施設があります。
見学料は無料で、かなり充実した展示内容でしたのでご紹介します。
台東の矯正藝文展示館 : 矯正芸術文化展示館 とは?
台東の公式観光紹介ページにある矯正藝文展示館の説明を見ると、
法務部矯正署為活化利用自民國90年裁撤的臺東看守所,遂經由臺東監獄規劃,於民國103年成立「矯正藝文展示館」並重新開放,展示館主要分成藝文展示、矯正文物區、戶外展示區及舍房區,除了可以了解監獄內部流程文化之外,也可看見許多受刑人的藝文創作。
法務部矯正署は2001年(中華民国90年)に台東刑務所が計画されるにあたり廃止された台東刑務所を有効活用することとし、2014年(中華民国103年)に「矯正芸術文化展示館」として開館しました。展示館の主な展示物は芸術文化、矯正関係の展示、戸外の展示区域と監獄となっている。監獄内の状態を理解する他、受刑者たちの創作した芸術品を鑑賞することができます。(意訳)
ということらしいです。
簡単に言ってしまえば、実際に使われていた刑務所を再利用して受刑者の生活と刑務所内で作られた工芸品の展示場を作ったそうです。刑務所博物館ですね。
台東矯正藝文展示館の外観
アニメ調の立て看板が飾られていますがその見た目は紛れもなく刑務所のもの。高い塀の上には鉄条網が張り巡らされています。
「すみませーん。見学させてくださーい」
掃除や運転手をしているおじさんが案内してくれました。
受刑者の作った工芸品展示室
最初に案内してもらったのが、管理棟と接見室がある建物の中に作られている工芸品の展示室です。ここに納められているのは各地の受刑者が作った工芸品で、陶器や絵画、版画、木彫り、その他各種工芸品が展示されています。
これらの工芸品は販売もしていて、売上は受刑者の更生支援に使用されます。
もし必要なら「こんなものを作って欲しい」というリクエストをすれば格安で製作してくれるそうです。
かなり見事なもので、刑務所に入る前にこれやってれば良かったんでは?というのは誰もが思うことかもしれません。
接見室はこのようになっています。映画とかで見たことのある風景です。
鉄格子とガラスで仕切られた向こう側が外の世界で、手前は受刑者が座っていた側となります。据え付けられた電話機で面会に来た人と会話をしていたそうです。
外部の人間が囚人と接見するために通る部屋です。監獄の内側も外側も殺風景です。
できればお世話になりたくない場所です。
監視塔と刑務所の壁を内側から眺めつつ進みます。それにしても鉄条網の張り巡らせ方が半端ないです。
女子房へ続く建物内には刑務所内の様子をまとめた掲示物がありました。
監房、教室、作業室、管理棟が中庭を囲んでいます。ここで体操とかしたんでしょうか?
監房と教室のある方へ案内されました。時々付近の軍用飛行場に向かう航空機がかなりの騒音で上空を通り過ぎていきます。
監房はかなり詰め込み気味な状態
まず監房棟の手前にあった教室を見学します。右から読む”教室”の文字が新鮮です。
ここで各種の矯正教育が行われていたのでしょう。学校の教室のような椅子と机が並べられています。
しかし、机と椅子は全てお互いに固定され一体化されています!!恐らく暴動などで武器として投げたりされないようにする為だと思われます。一瞬学校かと思いましたがやはり刑務所。
監房棟に入っていくと、あちこちに鉄格子が設置されています。各部屋の扉は分厚く、さらに補強が多めに入っていかにも丈夫そうです。看守が部屋の中全体を確認できるように横長の監視穴が開けられています。
一部屋に15人以上雑魚寝していたそうです。恐るべき個人スペースのなさ。囚人なので仕方がないですが。そしてさらに・・・
トイレはなんの囲いもありません。むき出し。プライバシーゼロ。
各部屋の床にはこのような穴が開けられていて、何をするのかといえば、ここから食事が供給されたそうです。
こんな感じで部屋ごとの囚人を管理していたようです。
独居房ももちろんあります。狭い部屋に閉じ込められたらそれだけで1日を長く感じるはず。
台湾監獄島という国民党による台湾人への弾圧を描いた本があるのですが、その中で描かれた綠島の政治犯刑務所はこれ以上のひどい扱いだったのを思い出しました。この刑務所は政治犯以外の囚人が収容されていたようです。
施設内には医療設備と作業所もある
刑務所内には医療設備もあり、外部から来る医師による治療も受けられたようです。
歯科、眼科等科目ごとに設備が置かれています。ここは昔の病院のような佇まいです。ちょっと治療は遠慮したいです。
囚人が各種軽作業を行なっていた作業場所も公開されています。
机の上には実際に軽作業で組み立てられている物が展示されていました。
こ、これは!? 「てつおじさんのチーズケーキ」の紙袋。
台北駅にも店があったはず。ここの袋は刑務所で作られていたのですね。知らなかった。
最後に管理棟を見学
看守が詰めていた管理棟を最後に見学しました。看守の制服や、監房棟に入る際の手順とうが説明されていました。
どんな受刑者がどれくらい居るか管理していたホワイトボード。実際に使われていたようです。
鎮静室と書かれています。連れてこられて来た際に興奮している囚人はここに落ち着くまで入れられていたのでしょうか?
ボロボロになった内線電話番号表も歴史を感じさせます。
あまりお客さんが来ないのか、かなり丁寧に説明しながら案内してくれました。
囚人として入るのはゴメンですが、もう一度訪れてみたい場所です。
お店情報:
矯正藝文展示館
住所:臺東縣臺東市中山路55號
HP/FB:台東観光案内のページ
電話:089-324308
営業時間:火曜日から土曜日,午前09:30から午後16:30まで,(月曜および国定休日は休館)
日本語対応:不可
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